豊島について

豊かな島

穏やかな瀬戸内海の香川県と岡山県の中間あたりに位置する、面積14.5㎢、人口約800人の島です。

その台地は花崗岩を基盤にし、「豊島石」と呼ばれているやわらかい凝灰岩と、硬い安山岩からなっています。島に降る雨はこれらの岩を通して浄化され、島の中央にそびえる標高約330メートルの檀山に蓄えられ、おいしい水となってふもとの集落に届けられます。檀山のすそ野に位置する唐櫃岡の集落には、現在まで枯れたことがないという湧き水の出ている場所があり、「唐櫃の清水」と呼ばれています。

瀬戸内の島では、水道管が整備される前からの稲作は珍しいことだと言われていますが、豊島では、この豊富な水を利用した稲作が古くから盛んにおこなわれていました。島を巡ると、いたるところに田んぼや田んぼであった場所があり、その傍らには貯水池を見ることができます。その数は300を超えていると言われ、豊島の地形や自然環境をうまく利用した先人の知恵の面影を感じることができます。
また、豊かな漁場である瀬戸内海に囲まれ、漁業も盛んにおこなわれていました。こうした島の成り立ちが、文字通りこの島を「豊かな島」としてはぐくんでいます。

棚田

檀山からの豊かな湧き水に支えられた唐櫃地区には、海を臨む傾斜にかつて棚田が一面に広がっていました。しかし、時の流れとともに耕作されなくなった田んぼが増えて、棚田には竹や草木が茂り、荒れ地となっていきました。

2010年、豊島美術館の開館と瀬戸内国際芸術祭の開催に合わせ、豊島の住民の方や行政、そして美術館を運営する公益財団法人福武財団による棚田の復元が行われました。
水路が壊れていたり草木の根がはびこっていたりと、原形が崩れた場所が多くあり、完全なもとの姿には戻りませんでしたが、復元された棚田は、その土の状態に合わせて管理されています。

  • 米を作る:土の状態が良く、水路が確保されている場所では米を作っています。
  • 野菜を作る:稲作ができない場所でも、土の状態が良い場所では野菜を作っています。
  • 果樹を植える:稲作にも畑にも適さない場所には果樹を植えています。
  • 花を植える:作物が育ちにくい場所は、二度と荒れ地に戻らないように季節ごとの花を植えたり、草刈り等の手入れをしています。

広がる棚田は水が豊かなこの島を象徴する場所であり、その風景は豊島美術館を訪れる方の感動を呼んでいます。そして、棚田で作物を育てておられる方々は、その手を休める時に感じる、島をはぐくむ檀山からの風や眼下に望む瀬戸内海のきらめきなど、すべての自然の美しさを誇りに思っています。

石の島

豊島には「豊島石」と呼ばれる凝灰岩が採れ、古くから石の島としても知られています。「豊島石」は、柔らかく加工がしやすいが火には強いという性質を持つので、灯篭や家庭の窯などにも多用されていました。「豊島石」は非常に品質が良かったため、重宝され、桂離宮の灯篭に多く使用されています。残念ながら時代と共に採掘事業は衰退し、現在、豊島で石を掘ることはなくなっていますが、石は豊島にとって非常に大切な文化です。

ミルクの島、福祉の島

近代に入ってからは酪農が栄えたこともあり「ミルクの島」と呼ばれ、戦後間もなく先進的な福祉施設ができたことから「福祉の島」としても知られてきました。

産業廃棄物の不法投棄

1970年代から始まった産業廃棄物の不法投棄は、全国的にも最大規模の産廃問題となりましたが、不法投棄された廃棄物の処理もすすみ、環境の再生を目指した取り組みが続いています。

美しい自然

豊島を訪れた方が皆一様に口にされるのは、「美しい島だ」ということです。もちろん住民の方にも自分にとって特別な場所があり、「美しい場所」の自慢話をしてくれます。特に島の南側の風景は格別です。道に迫るような広大なみかん畑やオリーブ畑を抜け、海に向かって開けてくる道からは、瀬戸内海越しに五剣山、屋島までも一望できます。

産品

棚田の作物

温暖な瀬戸内の気候のもと、米と種類豊富な野菜や果物を育てています。これらの作物は、島内の飲食店でも使われています。

オリーブ

島の南部には約一万本のオリーブを有する農園があります。オリーブは香川県の県木であり、島民にとって身近な存在です。収穫された実は搾油され、オイルや精油加工品になります。「オリーブの新漬け」は、収穫期にだけ作られる産品です。

レモン

豊島では冬から春にかけて収穫されるレモン栽培が盛んです。島外へ出荷されるほか、島内で様々な商品に加工されています。木になった、ころんとしたその実は見るだけでも幸せな気分になります。

いちご

島内には5軒のいちご農家があり、ハウス栽培で甘さと酸味のバランスが絶妙の「女峰」を育てています。収穫時期は12月ころから5月ごろ。農家直営のカフェもあります。いちごをおいしく食べるコツは、ヘタ側から食べることだそうです。

柑橘

レモン以外にも、みかんやスイートスプリングなどの様々な柑橘を楽しむことができます。収穫時期は冬ですが、初夏の柑橘の花の咲き始めの可愛さと、満開時の花の香りも楽しみどころです。夏には冷凍みかんもおすすめです。

海苔

豊島沖では海苔養殖が盛んで、収穫・加工を一貫して島内で行います。秋には海上に養殖いかだが浮かび、唐櫃の棚田からも見ることができます。美味しい「一番海苔」は口に入れると、本当にとろけます。

そうめん

島内には、昔ながらの手延べ製法を守っている製麺所が2軒あります。真冬の天日干しによって、白く美しいそうめんができあがります。製造の過程でできる切れ端(ふし)も人気です。